ビオチンの型−L型・D型・d型

ビオチンの型についての質問です

あるHPの表記によりますと、L形のみが、薬として有用です。従いまして、医薬用のビオチンはL形ということになります。一般に市販されているビオチンの多くは、d形ということ、また、d形はL形の作用 を打ち消してしまうということも知っておいた方が良いでしょう。今回、VitaminShoppe社のビオチンを購入しましたが、天然型ビオチンはL型でしょうか。

ビオチンの「型」についての回答です

まず、化学式・化学記号では、アルファベットの大文字・小文字は、全く別の意味を持っていることをご理解ください。L−d−Biotinは、「(光学異性体の)L型−d型(天然型(遊離型))−ビオチン」という意味で使われている表記方法です。
弊社取扱いのアトピー性皮膚炎の症状の改善などに使用されるビオチンビタミンH)製品は、全てd型(天然型(遊離型))です。ステンレスタンク内でアシドフィルス菌を培養し、餌として糖分を与え、生成させたビオチンですので、腸内で善玉菌が生成するビオチンと全く同じ、生理的作用のあるタイプです。(日本で医薬品として使われているビオチン散のビオチンは、簡単にいうと非遊離型ビオチンを遊離型にするという製法で出来ています)
合成によるビオチンビタミンH)の生成の場合、光学異性体のL型・D型が半分ずつ出来るのですが、生理的作用があるのはL型ビオチンで、D型ビオチンはその作用を打ち消すとされています。合成ビオチンは、主に生育促進補助剤として家畜飼料に配合されています。
また、ビオチンビタミンH)には構造異性体と呼ばれる異性体もあり、こちらにもL型・D型があります。ビオチンの構造異性体の場合、生理的作用があるのはD型ビオチンで、L型ビオチンは、その作用を打ち消すことが解っています。つまり、体内での生理作用を主眼におけば、d型ビオチン(天然型(遊離型))=光学異性体のL型ビオチン=構造異性体のD型ビオチンということです。
ご紹介頂いたHPで、大文字のD型と小文字のd型を同列に捉えた表現をされていたり、「光学異性体」「構造異性体」という前置きを抜きにして、「D型ビオチンのみ生理的作用があり L型ビオチンはその作用を打ち消す」と表記しているサイト様も見受けられるように、天然型(遊離型)を表すd型と、光学異性体のD型・構造異性体のD型を混同する事が多いため、最近は 光学異性体のL型(または単に「L型」)という呼称より、天然型や遊離型といった表現を使う事の方が多くなってきています。そういった流れを汲んで、弊社HPのアトピー性皮膚炎などのアレルギー対策用のビオチンビタミンH)の表記も、順次「天然型」「遊離型」に切り替えています。