段階を追って行なうアトピー性皮膚炎の改善

アトピー性皮膚炎の改善についてお聞きしたいのですが?

我が家の娘は15歳になる高校1年生です。小学校に上がる前まで喘息をもっていましたが、今では全然出ていません。しかしながら、去年の秋、高校受験のストレスからか、もともとアレルギー体質だったせいなのか、アトピー性皮膚炎を発症してしまいました。首と両手の内側にかゆみがあるようです。どのような手順で、どのようなサプリメントを飲ませたよいでしょうか?

お嬢様のアトピー性皮膚炎改善に関する回答です

ストレスなどが引き金となって、アトピー性皮膚炎を発症していて、首と両手の内側にかゆみがあると言うことですね。お嬢様は、もともとアレルギー体質と炎症体質をお持ちで、成長過程の様々な段階で、形の違うアレルギー性疾患を発症し、現在アトピー性皮膚炎を発症されたものと思われます。サプリメントによる体質改善には、どうしてもお時間がかかりますし、アレルギーの改善は様々な原因をひとつずつ解消していく必要があります。以下に、アメリカでごく一般的に行なわれているアトピー性皮膚炎症状の改善プロセスを、順を追ってご紹介致しますので、ご参考頂ければと思います。「せーの!」で全てを同時に行なえれば、それに越した事はないのですが、ご予算のご都合もおありでしょうし、大量の大粒タブレットを延々と摂取するのは気の滅入る元ですから、ひとつずつ段階を追って進めて行かれると良いと思います。尚、今回ご紹介する全てのアトピー性皮膚炎の治療サプリメントは、抗アレルギー剤やステロイド剤などの医薬品との併用が可能です。

  1. まず最初は、もっともツライのがカユカユなどのアトピー性皮膚炎の炎症症状ですから、炎症を抑制し、炎症体質を改善する部分に絞ります。炎症抑制では大抵の場合、ビオチンビタミンH)から始めて3〜6ヶ月様子を見ます。ビオチン不足が原因でアトピー性皮膚炎やアレルギーの症状を発症している方は、アレルギー発症者の約4割といわれています。アトピー性皮膚炎などのアレルギー症状の改善目的でビオチンを摂る場合、最低3ヶ月間は一定量を継続摂取して様子を見ることとなります。ビオチンは、アメリカでの多くの実験・研究報告から、一日20mg(5mg入りのサプリメントを4錠)以上の摂取が望ましいとされています。ビオチンビタミンH)は水溶性で、尿として体外に排出されやすいため、1回1錠を、朝・昼・夕食後と就寝前の、1日4回摂取します。お気をつけ頂く点としましては、途切れ途切れに摂ると結果が出辛くなるという実験結果がありますので、「摂ったり摂らなかったり」ではなく、継続してお摂り頂くことですね。学校等のご都合で お昼の分が摂り辛いようでしたら、通常品に比べると若干割高となりますが、2段階に分かれて溶け出す仕様のビオチンを、1回2錠、朝・夕食後にお摂り頂くという方法もあります。しばらく試してみて、何の変化も見られなかった場合は、ビオチンとリノール酸からガンマリノレン酸(γリノレン酸)を作れない体質を疑い、直接ガンマリノレン酸(γリノレン酸)を補給したり、消化酵素の分泌不足で未消化たんぱく質を吸収し、それがアレルゲンとなっている可能性を疑って、たんぱく質消化酵素であるブロメラインを試すといった方法を取ります。またこの時には、同時に腸内環境の改善を始めるのが一般的です。具体的には善玉菌乳酸菌腸内細菌)とアルファルファなどの食物繊維の経口補給で、腸内環境を善玉菌優勢な状態に改善していきます。特に、ビオチンビタミンH)だけを長期間大量に摂っていると、ビオチンを餌として増える悪玉菌が異常繁殖する恐れがあるため、善玉菌の補給でそれを抑制します。腸内環境の改善には、1〜2年程度のお時間がかかりますが、完了すればビオチンの摂取は卒業することが出来ますし、善玉菌も、一年に1〜2ボトル程度補給すれば済むようになります。腸内環境の改善により、体内で充分な量のビオチンを生成出来るようになる他、腸内の免疫機構の反応が緩やかになり、安易にアレルゲンに反応しなくなったり、グロブリンを大量生成するTh2細胞を減らし、ヒスタミンの過剰生成も起こりにくくなります。ビオチンビタミンH)で炎症抑制が出来た方の約8割は3ヶ月位で変化を感じ、残り2割は半年程度かかっているそうですので、少し気長にご様子をみて頂ければと思います。
  2. ある程度アトピー性皮膚炎の炎症抑制が出来て体調が落ち着かれましたら、次の段階としてパントテン酸PABA(飲むUVカットとしてもおすすめです)、ビタミンCによる副腎皮質の回復・強化をします。小児喘息をお持ちだったということは、体質的にコルチゾールステロイドホルモン)の分泌量が少なく、なかなか発作を抑えられなかったという可能性があります。このような方は、副腎皮質を強化してコルチゾールの分泌を促すことにより、ビオチンビタミンH)等とは違った方向からも炎症体質の体質改善が望めると思います。これらの組み合わせを、半年〜一年ほどお続け頂きたいと思います。ステロイドの分泌が弱い方が脱ステロイドをおこなう場合、副腎の強化をしておかないと、ステロイドリバウンドを起こしてしまう可能性がありますので、ご注意下さい。以上が、炎症抑制・炎症体質の改善の部分になります。2段階に分けて頂いても、同時に進めて頂いても結構です。ステロイド剤をお使いの場合は、1と2を組み合わせて頂くことをおすすめします。
  3. アトピー性皮膚炎の炎症改善が一段落しましたら、次の段階として、「皮膚が薄い」「乾燥肌である」と感じられるようであれば、ヒアルロン酸EPAによる皮膚状態(角質層の厚み)の改善を始めます。ヒアルロン酸やEPAの分泌不足で皮膚(角質層)が薄い方は、表皮からアレルゲンを取り込みやすかったり、乾燥肌になりやすく、炎症や痒みを酷くさせがちです。(炎症跡が赤黒くなるのは、皮膚が薄い方の典型的アトピー性皮膚炎背皮膚炎症状です。)ヒアルロン酸とEPAは、角質層に分泌されて混ざり合い、乳液状になって角質層が容易に剥れないよう繋ぎ止める糊の役目を果たしたり、水分・油分を保持して蒸発を防ぎ、保湿力を高めます。またEPAには、肉や魚に含まれるアラキドン酸から、炎症を引き起こす物質が作られる過程を阻害する働きもあり、炎症抑制目的でも広く使われています。そこそこの大量摂取が必要となりますが、皮膚状態が改善されたら、後は通常のスキンケア目的程度に量を減らす事が可能です。この組合せによる皮膚の厚みの改善も、一年程度かかります。(即効性を期待するする場合は、体の外からスクワランオイルを塗っていただくといいと思います。また、乾燥肌の化粧品に関してはこちらのリンクに詳しく載っておりますので、よろしければごらんください。)
  4. 1〜3の改善が終わると、炎症はほぼ抑制され、皮膚の状態もかなり良くなっていると思います。ここで最終段階として、ケルセチンの摂取を始めます。ケルセチンは、ヒスタミンを大量生成してしまう肥満細胞の感度を穏やかにし、グロブリンの刺激を受けても、ヒスタミンを血中に放出しないよう改善する抗ヒスタミンの作用のあるものです。5つあるといわれるアトピー性皮膚炎などのアレルギーの原因や、炎症症状の原因に関わらず、根本的なアレルギー体質改善が期待出来るとして、ドイツでは医薬品認定されている、実力派のサプリメントです。ケルセチンは、大体1〜2年程度の摂取で体質改善が完了し、摂取を終了出来るタイプのサプリメントです。摂取量と改善スピードがある程度比例しますので、期間短縮のために一定期間大量摂取するのも一つの方法です。最も効果を体感しづらい部分なので、後回しにされることが多いようですが、根本的なアレルギー体質の改善は、この部分です。

日本では、アトピー性皮膚炎は治らないように言われる場合もありますが、アメリカではこれらのサプリメントによりアトピー性皮膚炎の治療がおこなわれており、アトピー性皮膚炎は治る病気として認識されています。